ハイエナ科

アードウルフ

アードウルフ©2019 Derek Keats: clipped from the original

アードウルフの基本情報

アードウルフ

英名:Aardwolf
学名:Proteles cristata
分類:ハイエナ科 アードウルフ属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、エジプト、エスワティニ、エチオピア、ケニア、モザンビーク、ナミビア、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

アードウルフ@Photo credit: Derek KeatsPhoto credit: Derek Keats

シロアリ食い

ツチオオカミの別名を持つアードウルフ。

その名前を聞くと、オオカミのなかまかと思ってしまいますが、彼らは実はハイエナ科の動物です

確かに非常に小型ではあるものの、後肢が前肢よりも短く、ハイエナの形態をしています。

 

ハイエナと言うと、死肉を食らうスカベンジャーのイメージがあります。

しかし、アードウルフは、死肉ではなくシロアリを専門に食べる、食肉目の中でも珍しい動物です。

アードウルフの見た目は、確かにハイエナのそれですが、細かく見てみるとその体はシロアリ食いに適するよう発達しています。

 

例えば舌。アリクイなどのような細長い舌ではありませんが、アードウルフは比較的長く、そして広い舌を持っています

そして、マズル(吻)の部分には毛がなく、シロアリの兵隊アリが出す分泌物が引っ付かないようになっています

カーペットにこぼれたソースなんかは中々落ちませんが、フローリングであれば拭けばいいだけ。

あれと同じです。

 

一方、シロアリが主食であるために退化した部分もあります。

 

例えば、シロアリは噛まずに胃で消化するため、臼歯や犬歯は他のハイエナと比べて退化しています。

ちなみに、シロアリなどを食べる動物にツチブタがいますが、アードウルフはツチブタのようにシロアリ塚を掘って食べるようなことはしないため、前肢や爪はツチブタほど強靭ではありません。

 

さて、このような体をもって、アードウルフは主ににおいで獲物の場所を探し出し、多い時には一晩で20万匹以上ものシロアリを食べます

ただ、彼らはシロアリを全滅させるわけではありません。

そのためシロアリのコロニーは復活します。

そこに再びやってくることで、彼らはもう一度おなかをいっぱいにします。

肉食が多い食肉目の中で、肉ではなくシロアリを食べることに特化したアードウルフ。

そのユニークさゆえ、現在も彼らは生存しているのでしょう。

アードウルフ@Photo credit: Derek KeatsPhoto credit: Derek Keats

アードウルフの生態

生息地

アードウルフは、アフリカ東部と南部の乾燥しており、開けたサバンナ草原に生息します。

生息地の年間平均降水量は100㎜以下で、標高は高くても2,000mになります。

 

食性

主食はシロアリですが、シロアリが少ない時などは幼虫などの柔らかい生物などを食べることもあります。

アードウルフは水分のほとんどをシロアリから摂取するので、水がない環境でも生きていくことができます。

 

形態

体長は67~75㎝、肩高は40~50㎝、体重は8~14㎏、尾長は20~30㎝で、見た目の上で性差はありません

特徴的なたてがみは、威嚇の時などに逆立てます。

 

行動

アードウルフは、かつて単独性と考えられていましたが、ペア型の社会を作るようです。

採食は単独で行われ、同所的に複数の個体がいる場合もあります。

主に夜行性で、昼間はツチブタやウサギなどが掘った巣穴で休息します。

行動圏は1~4㎢で、糞尿、肛門腺からの黒いペースト状の分泌物でマーキングします。

特に糞は掘られた穴に溜められ、その上から砂をかけられます。

においづけはオスの方がより頻繁に行います。

 

繁殖

交尾は6~7月に行われます。

複数の異性と交尾する場合もあり、交尾時間は1~4.5時間にもなります。

妊娠期間は約90日で、200~250gの赤ちゃんが一度に2~5頭産まれます。

赤ちゃんは父親と母親によって育てられます。

生後1カ月で巣穴を出るようになり、生後4カ月までには完全に離乳します。

その後、1歳になるまでに独立します。

寿命は飼育下で最長20年の記録があります。

アードウルフに会える動物園

アードウルフには、都市化や農地の拡大などの懸念事項があります。

これらは彼らのえさであるシロアリを一掃する可能性があるため、潜在的な脅威となっています。

また、アードウルフは家畜を襲うという誤った認識のため殺される場合があります。

ただ、農夫のこのような認識は近年改善しているようです。

さらにアードウルフは、家畜を襲うこともあるハイエナやジャッカルと間違えて殺されることもあるようです。

とはいえ、アードウルフの個体数は安定しており、分布域も広いため、絶滅の危険性は低いと言われています

IUCNのレッドリストでも軽度懸念の評価が与えられています。

 

そんなアードウルフですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

彼らのシロアリ食いをいつか直接見てみたいものです。

アードウルフ@Photo credit: zoofanaticPhoto credit: zoofanatic