イタチ科

コツメカワウソ

コツメカワウソ©2014 zoofanatic: clipped from the original

コツメカワウソの基本情報

コツメカワウソ

英名:Asian Small-clawed Otter
学名:Aonyx cinereus
分類:イタチ科 ツメナシカワウソ属
生息地:バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

コツメカワウソ@Photo credit: zoofanaticPhoto credit: zoofanatic

手先が器用な賢いカワウソ

コツメカワウソは、その名の通り、指先から出ることのない、他のカワウソと比べると小さな爪を持っています。

その爪が生える手には、一部水かきが付いていますが、他のカワウソほど完全ではなく、第一関節から先には全く水かきが見られません。

 

このようなコツメカワウソの特徴は、穴を掘ったり上手に泳いだりする能力を低減させる一方で、彼らに器用な手先を与えています。

彼らの手先の器用さは霊長類以外の動物では見目を見張るものがあります。

例えば、下の動画でも見られるように、コツメカワウソは手足で石ころや貝殻を使ってジャグリングすることができます。

また、コツメカワウソは獲物を捕らえる際、ほとんどのカワウソがするように口で捕らえるのではなく、手で押さえてから口に運びます。

多くの動物において、狩りの際、手は補助的なものにすぎませんが、コツメカワウソでは最も重要な役割を果たしているのです。

手先の器用さに加え、コツメカワウソは賢さも兼ね備えています。

彼らは学習能力が非常に高く、水族館や動物園では下の動画のように芸を教えているところもあります。

また、ある飼育下の個体では、えさである貝を日向におき、熱で貝殻が開いたところを食べる様子が観察されています。

コツメカワウソや霊長類を見ていると、手先の器用さと賢さには深い関係があるのかもしれません。

コツメカワウソの生態

コツメカワウソは、スマトラ島やボルネオ島を含めた東南アジアを中心に、標高2,000mまでの泥炭湿地マングローブ田んぼなど水辺に生息します。

 

主食はカニなどの甲殻類魚類で、その他にはカエルなどの両生類軟体動物昆虫なども食べます。

獲物の大きさはまちまちで、ある野生動物保護区では、甲羅の大きさが10~44㎝のカニを食べていたといいます。

 

体長は40~63㎝、肩高は20㎝、体重は2.7~5.4㎏、尾長は25~35㎝で、コツメカワウソはカワウソの中では最も小さい種になります

彼らの臼歯は発達しており、カニの甲羅をかみ砕けるほど頑丈です。

 

コツメカワウソは、12頭前後から成る家族群で暮らします。

その中心には繁殖するペアがおり、このペアは一生変わらないことが多いです

彼らは非常に社会性が高く、採餌の時以外はグルーミングしたり、レスリングをしたりします。

また、音声によるコミュニケーションも発達しており、少なくとも12の音声が知られています。

コツメカワウソは主に日中活動しますが、人が周辺にいる水田では多くが夜行性です。

また、彼らは他のカワウソよりも陸で過ごす傾向が強く、深い水辺よりも浅い所を好みます。

 

コツメカワウソは多くて年に2度繁殖します。

メスの排卵周期は28~30日で、発情期間は1~13日。

この時、メスは体をこすりつける回数や、尿などによるマーキングの回数が増えます。

妊娠期間は約60日で、50g前後の赤ちゃんが一度に1~6頭産まれます。

出産、育児は地上の巣穴で行われます。

また、育児は母親だけでなく父親によっても行われます

赤ちゃんは生後40日で目を開き、生後10週で巣穴から出るようになります。

生後約3カ月には泳ぎはじめ、離乳し始めます。

生後2~3年で性成熟に達し、寿命は飼育下で11年前後です。

コツメカワウソ@Photo credit: Katja SchulzPhoto credit: Katja Schulz

コツメカワウソに会える動物園

コツメカワウソは、生息地の減少や密猟などにより、今でも個体数を減らし続けています。

東南アジアでは、泥炭湿地やマングローブが埋め立てられたり、森林が伐採されお茶やコーヒーのプランテーションになったりしており、彼らの生存を脅かしています。

また、農地で使用される農薬が増えるなどすれば、水辺の環境を汚染してしまいます。

このような汚染は、コツメカワウソに直接の影響を与えるだけでなく、エサとなる魚などの減少を通して、間接的にも悪影響を及ぼします。

また、コツメカワウソは一部で毛皮目的の狩猟の対象になっています

このような脅威により、コツメカワウソは過去30年の間で、個体数を30%以上減らしたと言われています。

IUCNのレッドリストでは、2008年より準絶滅危惧から絶滅危惧Ⅱ類に格上げされてしまっています。

 

そんな絶滅の危機に瀕するコツメカワウソですが、日本では多くの動物園、水族館で見ることができ、人気者として知られています。

動物園では、北海道の円山動物園、千葉県の千葉市動物公園、静岡県の浜松市動物園、兵庫県の王子動物園、愛媛県のとべ動物園、福岡県の福岡市動物園、水族館では、石川県ののどじま水族館、大阪府の海遊館などなど、数々の施設で見ることができます。

彼らの手先の器用さ、賢さ、そしてかわいらしさを見に、是非これらの動物園、水族館に行ってみてください。

■円山動物園

■千葉市動物公園

■浜松市動物園

■王子動物園

■とべ動物園

■福岡市動物園

■のどじま水族館

■海遊館