ネコ科

アジアゴールデンキャット

アジアゴールデンキャット©2010 Karen Stout: clipped from the original

アジアゴールデンキャットの基本情報

アジアゴールデンキャット

英名:Asiatic Golden Cat
学名:Catopuma temminckii
分類:ネコ科 アジアゴールデンキャット属
生息地:バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

アジアゴールデンキャットPhoto credit: Marie HalePhoto credit: Marie Hale

更新される情報

名前も容姿も彼らによく似たネコに、アフリカゴールデンキャットがいます。

アフリカゴールデンキャットは、1827年、オランダの貴族であり、動物学者、鳥類学者でもあるコンラート・ヤコブ・テミンクによりその学名を与えられました。

 

同じ年、ロンドンの動物園にアフリカゴールデンキャットによく似たネコがやってきました。

ロンドン動物学会のヴィゴーズとホルスフィールドの二人は、このネコを新種として記載しました。

これがアジアゴールデンキャットです。

この時、二人はアフリカゴールデンキャットを名付けたテミンクを讃え、このアジアゴールデンキャットの種小名をtemminickiiとしました。

 

これが人間とアジアゴールデンキャットの「正式な出会い」となるのですが、残念ながらそれ以降、その見つけにくさのために彼らはあまり研究されてきませんでした。

しかし、近年、DNA研究の発展などにより、だんだんと彼らの正体が解明されつつあります。

 

かつて、アジアゴールデンキャットはアフリカゴールデンキャットに近縁であるとされていました。

しかし、近年のDNA研究の結果、彼らは共通の祖先から850万~940万年前に分岐していたことが分かりました。

彼らはもはや近縁とは言えず、系統も別(アジアゴールデンキャットはベイキャット系統、アフリカゴールデンキャットはカラカル系統)だったのです。

 

また、アジアゴールデンキャットはかつて、ベイキャットと同種とされていました。

正確には、ベイキャットがボルネオ島に生息するアジアゴールデンキャットの亜種と考えられていたのです。

しかしこちらもDNA研究により、彼らは共通祖先から490万~530万年前に分岐しており、別種であることが判明しました。

 

彼らの生態について言えば、アジアゴールデンキャットはかつて夜行性と考えられていましが、今では昼行性、薄明性であることが分かっています

このように、様々な情報が科学の進歩により更新されてきたアジアゴールデンキャット。

今後も彼らについていろいろと分かってくることでしょう。

アジアゴールデンキャットの生態

アジアゴールデンキャットは、インド北東部、中国南部からインドネシアスマトラ島にかけて、パッチ状に生息します。

彼らは森林との関係が深く、標高約3,800mまでの熱帯雨林から落葉乾燥林まで、様々な森林に生息します。

開けた場所でもまれに観察されますが、そのような所では生きていけないとされています。

 

食性については未だによく知られていませんが、主な獲物は齧歯類と言われています。

この他、シカイノシシヘビカエル鳥類などの捕食記録があります。

狩りは地上で行われるようですが、ダスキールトンなどの霊長類を捕食していることからも、樹上でも狩りが行われている可能性があります。

実際、彼らは木登りが得意です

 

体長はオスが75~105㎝、メスが66~94㎝、体重はオスが12~15.8㎏、メスが約8.5㎏、しっぽの長さは40~60㎝で、性的二型が見られます

体色は様々であり、明るい茶色から灰色、黒(メラニズム)まであります。

また、斑紋がはっきりとしたオセロット型も存在します。

 

アジアゴールデンキャットは、単独性であると考えられています。

タイのプーキエオ野生生物保護区における調査によると、行動域はオスで48㎢、メスで33㎢で、両者のそれは大幅に重複していました。

他の単独性の動物と同様、オスの行動域は1頭以上のメスと重複しているようです。

 

繁殖は野生下では知られていないため、ほとんどのデータは飼育個体によるものです。

飼育下では季節的に繁殖し、排卵周期は39日、発情期間は6日、妊娠期間は81日です。

一度の出産で1~3頭(通常1頭)の赤ちゃんが約250gで産まれます。

飼育下では父親は一切育児に関わりません。

子供は生後約半年で離乳し、1歳で独立、生後18~24カ月で性成熟に達します。

寿命は飼育下で最長17年です。

ダスキールトンPhoto credit: BabirusaPhoto credit: Babirusa

アジアゴールデンキャットに会える動物園

生息密度や生息数は分かっていませんが、アジアゴールデンキャットは、主に生息地の減少や密猟により個体数を減らしていると考えられています

違法であるにもかかわらず、毛皮や珍味とされている肉、薬に利用される骨のために、彼らは密猟されています。

ある地域では、彼らの毛を持ち歩いたり、毛皮を焼いたりすることでトラを追い払えるという迷信があり、このような伝統も彼らの生存を脅かしているかもしれません。

アジアゴールデンキャットは、現在のところ、レッドリストで準絶滅危惧種として記載されています。

ただ、最近のカメラトラップによる彼らの撮影回数は意外にも多かったことから、個体数は推定よりも多い可能性はあります。

 

そんなアジアゴールデンキャットですが、日本の動物園では見ることができません

かつては大阪府の天王寺動物園が飼育していたようですが、その個体はすでに亡くなっています。

残念です。

ダスキールトンPhoto credit: Iain ThompsonPhoto credit: Iain Thompson