ジャコウネコ科

ヨーロッパジェネット

ヨーロッパジェネット

ヨーロッパジェネットの基本情報

ヨーロッパジェネット

英名:Common Genet
学名:Genetta genetta
分類:ジャコウネコ科ジェネット属
生息地:アルジェリア, アンゴラ, ベナン, ボツワナ, ブルキナファソ, カメルーン, 中央アフリカ共和国, チャド, コートジボワール, ジブチ, エジプト, エリトリア, エチオピア, ガンビア, ガーナ, ギニア, ケニア, レソト, リビア, マリ, モーリタニア, モロッコ, モザンビーク, ナミビア, ニジェール, ナイジェリア, オマーン, サウジアラビア, セネガル, ソマリア, 南アフリカ, スーダン, タンザニア, トーゴ, チュニジア, ウガンダ, イエメン, ザンビア, ジンバブエ, アンドラ, フランス, ポルトガル, スペイン, イタリア
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ヨーロッパジェネットPhoto credit: Frederic SALEIN

“ヨーロッパ”ジェネット

ジャコウネコは名前からも推測できるように(麝香:じゃこう、ジャコウジカの分泌物を乾燥した香料)、臭腺からの分泌物が香水の原料として使われていることで有名です。

ジェネットとはこのジャコウネコ科に分類されるグループの1つです。

その内の1種、ヨーロッパジェネットは、約10種いるジェネット類の中で、アフリカに最も広く分布する種であり、唯一、アフリカ以外にも生息する種でもあります

アフリカ以外とは、つまり中東、そしてポルトガルやフランス、クラブで有名なイビサ島を含むスペインのバレアレス諸島などのヨーロッパです。

 

後者のヨーロッパの方は彼らの名前にもつくほどですが、実は彼らは元から住んでいたわけではなく、ヨーロッパに人為的に持ち込まれたと言われています

1000~1500年前、ヨーロッパジェネットは北アフリカから地中海地域に半家畜の動物として連れてこられました。

そこから徐々に生息域を広げていき、現在に至っているようです。

オランダやベルギー、スイスでも目撃情報があるようですが、飼育下から脱走した、もしくは捨てられたからだと考えられており、果たしてそこに生息しているのか正確には分かっていません。

 

正確な生息域は分かっていないものの、彼らが他のジェネットと比べて広い生息域を持つのは事実であり、そこからヨーロッパジェネットは“European Genet(ヨーロッパのジェネット)”の他、“Common Genet(一般的なジェネット)”という英名でも呼ばれます。

ヨーロッパジェネットの生態

ヨーロッパジェネットは、アフリカヨーロッパ中東にかけて、様々なタイプの森林、岩場に生息します。

 

樹上生活に適した彼らは、主に齧歯類などの小型哺乳類を食べます。

その他にも鳥類トカゲ昆虫を食べます。

また、特に秋と冬には果実を食べることもあります。

ジェネットは嗅覚や聴覚を頼りに獲物を探し、ネコのようにノドへの一噛みで殺します。

 

体長は40~55㎝、肩高は約20㎝、体重はオスが約2㎏、メスが約1.8㎏、しっぽの長さは40~50㎝で、オスの方がやや大きくなります

四肢は短く、爪は出し入れができます。

 

ヨーロッパジェネットは主に夜行性で、単独性です。

オスもメスも異性とは一部重複する、10㎢程度の行動圏を持ちます。

マーキングには、メスは臭腺からのにおいを、オスは尿を用いることが多いようです。

また、なわばりの境界には糞が溜められ、これもマーキングと同じ役割を果たしています

用いられるコミュニケーションには、相手の繁殖などに関する情報を得られるにおいの他、5種類の音声が知られています。

 

繁殖には季節性があり、交尾の多くは4月~5月、8月~9月にかけて行われます。

交尾は2~3分続き、それが多くて5回繰り返されます。

妊娠期間は10~11週で、樹上の巣に最大4頭の赤ちゃんが産み落とされます。

赤ちゃんは体長約13㎝、体重60~85gで、目は見えていません。

生後8日に目を開き始め、生後7週には固形物を食べ始めます。

生後2~4カ月で完全離乳し、1歳の時に母親から独立します。

性成熟には2歳で達し、寿命は飼育下で13~20年です。

ヨーロッパジェネットPhoto credit: Bernard DUPONT

ヨーロッパジェネットに会える動物園

ヨーロッパジェネットは、地域よっては肉や毛皮目的の狩猟の対象になっているようです。

ただ、その生息域の広さから、種全体で見ると個体数は安定しており、絶滅は懸念されていません

レッドリストでも軽度懸念と登録されています。

 

そんな中、イビサ島では、急速な都市化、観光地化により生息地が破壊、分断され、彼らの脅威となっています。

人間たちがわいわい騒いでいる裏で、ヨーロッパジェネットたちは密かに数を減らしているのです。

 

そんなヨーロッパジェネットですが、日本の動物園では見ることができません

彼らどころかジェネット類はどれも見ることができないようなので、残念です。

ヨーロッパジェネットPhoto credit: Bernard DUPONT