イヌ科

コサックギツネ

コサックギツネ©2013 Jacob Dwanson: clipped from the original

コサックギツネの基本情報

コサックギツネ

英名:Corsac Fox
学名:Vulpes corsac
分類:イヌ科 キツネ属
生息地:アフガニスタン、中国、イラン、カザフスタン、キルギス、モンゴル、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

コサックギツネ@Photo credit: Neil MclntoshPhoto credit: Neil Mclntosh

美しき自由人

コサックと聞くと、コサックダンスのコサックを一番に思い浮かべます。

このコサックとは、帝政ロシアの農奴制から逃れ、南ロシアの草原地帯で暮らすようになった人々のことをさし、その語源は「自由の人」、「放浪者」などを意味する言葉にあるようです。

 

コサックギツネはこのコサックを名に持ちますが、残念ながらその名の由来は不明です

そもそも、先のコサック(cossack)と、コサックギツネのコサック(corsac)は英語の表記が違います

そのため、コサックギツネのコサックと、コサックダンスのコサックは別物なのかもしれません。

 

しかし、コサックギツネはコサック同様、ロシアの南にも生息しています。

また、コサックギツネはなわばりを持たず、移動しながら生活します

特に冬は、深い雪の上での生活が難しいことから、南の方に最長600kmも移動します。

この生態は、コサックの語源が意味する「自由の人」、「放浪者」そのものです。

こう考えると、先に述べたこととは反対に、コサックギツネのコサックは、英語表記は違えどもコサックダンスのコサックと同じなのかもしれません。

 

ここでコサックギツネの容姿を見てみると、美しい毛皮を纏い、非常に上品なたたずまいをしています。

これは、コサックダンスのコサックが思わせる凛々しさや勇猛さとは異なります。

そろそろ、コサックギツネのコサックの語源は迷宮入りしそうです。

コサックギツネ@Photo credit: Jacob DawsonPhoto credit: Jacob Dawson

コサックギツネの生態

コサックギツネは、中央アジアから東アジアにかけて、ステップ半砂漠などの低地乾燥地帯に生息します。

農地や森林、山地、茂みは避けるようですが、それにもかかわらず彼らは木登りが得意とされています。

 

主に肉食で、ハタネズミなどの齧歯類を主食とします。

ジャンプして背中を空中でアーチ状に曲げ、獲物に襲いかかるキツネ独特の狩りで獲物を捕らえます。

この他、ウサギナキウサギ鳥類昆虫果実死肉なども食べます。

乾燥地帯で暮らすため、水分の多くは獲物から得ます。

 

体長は45~65㎝、肩高が約30㎝、体重は1.6~3.2㎏、尾長は25~30㎝で、肛門や頬などに臭腺を持ちます

歯が比較的小さく、走るのが遅いです。

 

コサックギツネは、主に夜行性とされていますが、飼育下では昼に活発に動きます。

他のキツネに比べて社会性が高く、複数のキツネが同じ巣穴で暮らすこともあるようです。

この場合の群れは、父親と母親、そしてその子供と思われます。

オスはメスをめぐって争いますが、一度ペアになったら、一生涯添い遂げると考えられています。

巣穴は自分でも掘りますが、マーモットやアナグマなど、他の動物が掘った穴を使用することもが多いです。

 

繁殖には季節性があり、1月~3月にかけて交尾が行われます。

妊娠期間は50~60日で、60gの赤ちゃんが2~6頭産まれます。

育児には母親だけでなく、父親も参加すると考えられます。

赤ちゃんは生後1カ月くらいから離乳をはじめ、約1歳で性成熟に達します。

寿命は飼育かで13年の記録があります。

コサックギツネに会える動物園

コサックギツネは、過放牧や獲物の減少、そして狩猟の影響を少なからず受けています。

特に毛皮を目的とした狩猟は長年行われてきており、大きな脅威となっています。

例えば、20世紀のロシアでは、年に最大5万頭のコサックギツネが毛皮のために捕獲されました。

また、モンゴルでは1932年から1972の間で、110万頭以上もの毛皮がソ連に売られました。

1947年は、その数が最も多い年で、62,926頭の毛皮が売られています。

現在も毛皮目的の狩猟は続いており、他の脅威と合わさることで、コサックギツネの個体数を減らし続けています。

ただ、コサックギツネの生息数は不明ではあるものの、今のところ絶滅を危ぶまれるには至っておらず、レッドリストでは軽度懸念とされています。

 

そんなコサックギツネですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

毛皮ではなく生きた姿で、いつの日か会いたいものです。

コサックギツネ@Photo credit: Spencer WrightPhoto credit: Spencer Wright