イヌ科

コヨーテ

コヨーテの基本情報

コヨーテ

英名:Coyote
学名:Canis latrans
分類:イヌ科 イヌ属
生息地:ベリーズ、カナダ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

コヨーテ@Photo credit: California Department of Fish and WildlifePhoto credit: California Department of Fish and Wildlife

勢力拡大中

小さくはあるものの、その姿はプレーリーウルフなどとも呼ばれるようにオオカミそっくりなコヨーテ。

多くの肉食動物がその数を減らし危機的状況に陥っている中で、このコヨーテは勢力を拡大中です。

 

もともと、コヨーテはアメリカ西部の草原で暮らしていました。

しかし、19世紀、森林の伐採や狩猟などの人間活動のためにオオカミやジャガーといった大型の肉食動物がいなくなると、その隙間にコヨーテが入り込みます。

現在、コヨーテは北はアラスカ、カナダから、南はコスタリカまで分布域を拡大しています。

ジャガー©2013 cuatrok77: clipped from the original
ジャガーその強靭な肉体の割には小さめの獲物を捕食する南米の覇者・ジャガー。なぜでしょうか。...

 

ただ、彼らも他の肉食動物と同じく迫害されてきた歴史を持ちます。

家畜を襲うとして、今でも駆除の対象になっているほどです。

それにもかかわらず彼らがここまで繁栄できたのは、彼らの生活が非常に柔軟だからです。

 

コヨーテは、主に肉食ではあるものの、果実や草本などの植物質や昆虫も食べます。

また、人が残した食べ物も食べることができるため、彼らは人が住む都市周辺でも生活できます。

さらに、腐肉はエサが少ない冬には彼らにとって大きな食料源となっています。

 

コヨーテは、その地の食料に合わせた社会を作ります。

例えば、有蹄類がいるような地域では、獲物を捕らえるために複数頭から成る群れを作ります。

そのような獲物がおらず、齧歯類などの小型哺乳類が主な獲物となる地域では、単独で行動します。

 

食性や社会だけではありません。

生息環境も多様です。

先述のように、コヨーテは草原で生活していた動物ですが、森林や農地、砂漠でも生活することができます。

コヨーテは、夏には気温50度にも達する苛酷なデスバレーにも生息しています。

 

このようにコヨーテは柔軟に生きていけるため、肉食動物では例外的に個体数や分布域を拡大することができています。

ただ、彼らより大きいオオカミの存在は、彼らの勢力拡大の大きな妨げになっているようです。

実際、オオカミが姿を消してコヨーテが台頭していたイエローストーン国立公園のラマー・バレーでは、1990年代のオオカミの再導入により、コヨーテの個体数が4割ほど減少しています。

そもそもコヨーテが繁栄できたのは、人間活動によりオオカミが減少したことが大きな理由と考えられています。

 

オオカミのように人間活動により絶滅の危機にさらされる生き物がいる一方で、それを好機として勢力を増す生き物がいます。

コヨーテはその柔軟な生態によって、好機を生かすことができた数少ない肉食動物と言えるでしょう。

コヨーテ@Photo credit: Gregory “Slobirdr” SmithPhoto credit: Gregory “Slobirdr” Smith

コヨーテの生態

名前

コヨーテという名前は、日本語で吠える犬を意味するアステカ族の言葉、“coyoti”に由来します。

学名のCains latransも同じく吠える犬を意味します。

コヨーテは北米で最もうるさい哺乳類と言われるほど、騒がしい動物です。

少なくとも11種類の音声を使って頻繁にコミュニケーションをします。

 

生息地

コヨーテは、北米、中米の森林や草原砂漠沼沢地都市近郊など様々な場所に生息します。

 

食性

摂取物の9割は哺乳類が占めます。

有蹄類やウサギ、齧歯類などの小型哺乳類の他には、鳥類爬虫類両生類魚類甲殻類昆虫果実家畜も食べます。

ボブキャットアカギツネハイイロギツネを襲うこともあります。

狩りの仕方は獲物の大きさによって変わります。

例えばネズミの場合などは、キツネのように上にジャンプして前足で押さえつけて捕食します。

有蹄類の場合は、疲れたら他の仲間がというように複数で交互に追いかけて捕らえます。

コヨーテは最高時速65kmで走ることができます。

また、アメリカアナグマと狩りを協力することでも知られています。

コヨーテの捕食者は少ないですが、オオカミピューマなどがいます。

アメリカアナグマ
アメリカアナグマ穴を掘って獲物を捕らえるアメリカアナグマ。彼らは狩りにおいてコヨーテと面白い関係を持ちます。...
ボブキャット©2011 Keith Kissel: clipped from the original
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ピューマ©2010 Mohd Fazlin Mohd Effendy Ooi: clipped from the orignial
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形態

体長は1~1.35m、肩高は約50㎝、体重は7~20㎏、尾長は30~40㎝で、オスの方が大きくなります

臭腺が尾の付け根にあり、14㎝の耳はオオカミのものよりも大きいです。

また、オオカミが尾をあげて走るのに対し、コヨーテの尾は走っている時も垂れたままです。

アルビノは非常に珍しく、1938~1945年にかけて捕獲された75万頭のうち、たった2頭しかいなかったと言います。

 

行動

コヨーテは主に夜行性ですが、日中も普通に活動します。

単独、ペア、数頭から成る群れで生活し、5~142㎢の行動圏を持ちます。

行動圏はオスの方が大きく、なわばり性は比較的弱いです。

子育てが行われる巣穴は、岩の隙間などに作ったり自分で掘って作ったりすることもあれば、アナグマスカンクウッドチャックが捨てたものを大きくして使う場合もあります。

コヨーテはイエイヌやオオカミと交雑します。

イエイヌとの子はコイドッグ、オオカミとの子はコイウルフと呼ばれ、特にコイドッグは繁殖力が強く、家畜を襲う傾向が強いため害獣として問題視されています。

シマスカンク
シマスカンク臭いにおいを発射することで有名なスカンク。実は、ある音楽のジャンルとの意外な関わりがあります。...

 

繁殖

コヨーテは冬に交尾します。

交尾の2,3カ月前からペアで行動するようになります。

ペアの関係は数年続くこともあるようです。

イヌ科動物に特有の交尾結合は、コヨーテの場合5~45分続きます。

妊娠期間は60~63日で、200~500gの赤ちゃんが3~15頭(平均6頭)産まれます。

育児には母親だけでなく、エサを持ってくるなどして父親も参加します。

赤ちゃんは生後10日で目を開き、3~4週で巣から出始めます。

生後5~7週には離乳し、9カ月ほどで大人の大きさに、そして独立していきます。

独立が遅れたものはヘルパーとして群れに残ることもあります。

性成熟は1歳までに達しますが、実際の繁殖はその先のことです。

寿命は野生で6~8年、飼育下で15~18年です。

コヨーテ@Photo credit: Saguaro National ParkPhoto credit: Saguaro National Park

コヨーテに会える動物園

コヨーテは、かつて毛皮目的で狩猟されたり、その肉が食べられたりしていました。

現在では、家畜を襲う害獣とされており、その被害は2004年、合衆国で死んだ22万4千頭のうち、約6割はコヨーテが原因であると言われているほどです。

家畜を守るため、今でも年間万単位でコヨーテは捕殺されています。

ただ、コヨーテは死肉も食べるため、家畜を食べているコヨーテが必ずしもその家畜を殺したわけではないという点は留意が必要でしょう。

狩猟圧といった人間の影響はあるものの、今のところ、コヨーテは個体数を増やし続けており、レッドリストにおける軽度懸念という評価からも分かるように、絶滅の危機にはありません

 

そんなコヨーテですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

なので、興味がある人は是非アメリカに行って直接彼らを見てみてください。

ただ、彼らは北米一病原菌や寄生虫を持っていると言われているので、近づきすぎないようにしましょう。

コヨーテ@Photo credit: Shanthanu BhardwajPhoto credit: Shanthanu Bhardwaj