ネコ科

マレーヤマネコ

マレーヤマネコ©2009 Jim Sanderson(title)

マレーヤマネコの基本情報

マレーヤマネコ

英名:Flat-headed Cat
学名:Prionailurus planiceps
分類:ネコ科 ベンガルヤマネコ属
生息地:ブルネイ、インドネシア、マレーシア
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

マレーヤマネコPhoto credit: Jim SandersonPhoto credit: Jim Sanderson

未知のヤマネコ

赤さび色が特徴的で、イエネコほどの大きさのこのネコ。

名前をマレーヤマネコと言い、名前に付くマレー半島の他、ボルネオ島スマトラ島にのみ生息します。

その容姿は特徴的で、顔はやたらと前後に長く、額は平坦です。

このことから、英語では“平たい額のネコ(flat-headed cat)”と呼ばれています。

また、爪は他のネコ科動物のように全部をしまうことはできず、しまってもなお、半分以上は外に出たままになります

このような特徴を持つネコは、他にスナドリネコチーターだけです。

さらに、マレーヤマネコの足には水かきがあり、上手に泳ぎます

水を怖がるイエネコを飼っている方々は驚いているかもしれません。

 

そんなユニークなマレーヤマネコ、実はほとんど研究がされておらず、最も未知なネコ科動物の一種です。

研究がされていないのは彼らの見つけにくさによるところが大きいです。

例えば、2009年までの記録や目撃情報は約100件、撮られた写真に至っては、たった17枚。

このように彼らの生活は謎に包まれているため、今あるデータは多くが飼育個体のものになります。

今後の研究次第ではここにある情報も更新される可能性がありますが、次章ではすでに分かっている彼らの生態を見ていきましょう。

マレーヤマネコPhoto credit: Andreas Wilting et al.Photo credit: Andreas Wilting et al.

マレーヤマネコの生態

マレーヤマネコは、マレー半島ボルネオ島スマトラ島低地熱帯雨林に生息します。

タイでの生息情報もありますが、記録は1995年のものを最後に途絶えています。

目撃情報の多くがそうだったことから、川などの水源が近くにある所に生息すると考えられています。

また、彼らは二次林やオイルパーム(アブラヤシ)のプランテーションでも目撃情報があります。

 

マレーヤマネコは、野生個体の胃の内容物から甲殻類を主に食べていると言われています。

この他、飼育個体から、小型齧歯類爬虫類両生類も食べると考えられています。

罠にかかって死んだ記録があることから、彼らは家禽も襲うようです。

興味深いことに、彼らはアライグマのようにえさを水中で洗うことが知られています。

 

体長は40~60㎝、体重は1.5~2.75㎏、尾長は13~20㎝で、オスの方が大きくなります

彼らの歯、特に上顎の第一、第二臼歯は鋭く、大きく発達しており、これはカエルや魚など、滑りやすい獲物をしっかりと捕らえることへの適用だと考えられています。

 

マレーヤマネコは、夜行性ないし薄明性の動物です。

単独で観察されていることがほとんどであることから、単独性であると思われます。

マーキングはオスもメスも、しゃがみながら前進し、尿をするという独特なもので、飼育下の個体で観察されています。

 

繁殖についてはほとんど分かっていません。

1頭の飼育個体からの情報によると、妊娠期間は56日、産子数は1~2頭です。

寿命は飼育下で最長14年となっています。

マレーヤマネコに会える動物園

マレーヤマネコは、その個体数についてもよく分かっていませんが、限られた情報からの推測によると、成熟個体の生存数は2500頭以下だと言われています

彼らの生息地である東南アジアでは次々と森林がプランテーションや農地などに置き換わっており、彼らの個体数がかつてより減っていることは間違いないでしょう。

マレーヤマネコは、レッドリストで絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

東南アジアの森林減少については下のインタビュー記事『減りゆく森林』をご覧ください。

 

そんなマレーヤマネコですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。

しかし、かつては東京の科学博物館でオスとメスの二頭が飼育されていたようです。

そのため、マレーヤマネコを直接見るにはその時代に戻るか、野生個体を探しに行くか、タイなどにいる飼育個体を見に行くかしかありません。