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フォッサ

フォッサ
©2015 zoofanatic: clipped from the original
目次

フォッサの基本情報

英名:Fossa
学名:Cryptoprocta ferox
分類:マダガスカルマングース科 フォッサ属
生息地:マダガスカル
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

フォッサ
Photo credit: Jean

マダガスカルの王者

フォッサは、マダガスカル最大の捕食者で、ピラミッドの頂点に君臨します。

特にキツネザルが好物で、フォッサの体は樹上で生活するキツネザルを捕らえるのに非常に適しています。

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手始めにしっぽを見てみると、非常に長いことが分かります。

これは物を掴むことはできないものの、樹上でバランスをとるのに役立ちます。

フォッサは木から木へジャンプすることができますが、その際にもしっぽは重要な役割を果たします。

次に、彼らの手足に注目してみましょう。

手足には短いかぎづめが生えていますが、これらはネコのように完全にではありませんが、出し入れすることができます。

つまり、爪を木に引っ掛けることもできれば引っ掛けないこともできるのです。

また、フォッサの後ろ足は両側に180度ずつ回転させることができます。

さらに、フォッサは大半の肉食動物のようにかかとを浮かして指だけで歩かず、足の裏をしっかりと付けて歩きます

このような歩き方を蹠行(しょこう)と言います。

このようなフォッサの特徴は、樹上での安定した素早い移動を可能にしています。

フォッサは、サルですらお尻から木を降りる所を、頭から降りることすらできます。

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フォッサ
Photo credit: zoofanatic

メスのオス化

フォッサには他の動物には見られない、面白い特徴があります。

それがメスの一時的なオス化です。

突然ですが、まずはオスの性器のお話をします。

オスは後肢に達するほどの長い陰茎骨を持ち、亀頭には先端を除いて棘があります。

そのため、ペニスを膣から非常に抜きづらく、交尾時間も3時間に達することがあります

お分かりかと思いますが、メスのオス化とは、メスがこのオスのような性器を持つことを言います

メスが1~2歳の思春期の時、クリトリスは肥大化し、さらにオスのペニスのような骨と棘が発達します。

また、メスは睾丸を持ちませんが、この時期、オスのようにオレンジ色の分泌物が腹部に広がります。

変化した性器は成長するとともに縮小していきますが、このようにメスが一時的にオスのようになる生理的な原因はよく分かっていません

テストステロンなどのホルモンも関係していないと考えられています。

一方、社会的に見てみると、このメスの一時的なオス化には、オトナオスによる性的な嫌がらせや、メスからの攻撃を減らすといった効果があると推測されています。

フォッサ
Photo credit: Jean

フォッサの生態

生息地

フォッサは、マダガスカルのあらゆるタイプの森林に生息します。

日中活動することもあれば、夜動くこともありますが、人間がいる地域では夜行性となるようです。

食性

フォッサは肉食で、キツネザルや齧歯類などの哺乳類の他、鳥類爬虫類昆虫類なども食べます。

獲物となるキツネザルは自分の大きさの9割以上になることもあります。

形態

体長は60~80㎝、肩高は約35㎝、体重はオスが6.2~8.6㎏、メスが5.5~6.8㎏、しっぽの長さは65~70㎝で、性的二型が見られます

行動

3頭のオスが協力してベローシファカを仕留め、肉を共有したという事例が報告されていますが、フォッサは基本的に単独で行動すると考えられています

オスは約25㎢、メスは10㎢前後の一部重複する行動域を持ちます。

フォッサはオスもメスもなわばりを持ち、胸や肛門付近から出るにおいで木や岩、地面にマーキングします。

繁殖

フォッサの繁殖には季節性があり、交尾は9月~10月にかけて行われます。

メスが発情するのは年に一度で、複数のオスと地上ないし樹上で交尾します。

オス間にはメスをめぐる競争があり、音声や直接的な攻撃で戦います。

メスの方でもオスの選択がなされます。

下の動画では最初木に登ってきたオスはメスに拒絶されています。

妊娠期間は約90日で、通常2~4頭(最大6頭)の赤ちゃんが地面に掘られた穴や岩の間、木の洞などに産み落とされます。

赤ちゃんは約100gで、目は開いておらず、歯も生えていません。

生後2週間で目が開き、毛色も大人の色になり始めます。

生後3カ月には固形物を食べ始め、4.5カ月で巣穴を出るようになった後、完全に離乳します。

性成熟には3~4歳の時に達し、寿命は飼育下で最長20年です。

フォッサに会える動物園

絶滅リスク・保全

フォッサはマダガスカルの王者ではありますが、彼らには人間という天敵がいます。

フォッサの生息地である森林は人間により切り開かれ、農地や牧草地に変わっていっています。

このような人間による森林破壊のために、マダガスカルの森林は、かつての10%も残っていないと言われています。

生息地の減少の他、肉目的の狩猟もフォッサの生存を脅かしています。

主にこのような脅威のために、フォッサは年々数を減らしており、現在では成熟個体は1万頭をきっていると推測されています

また、レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

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動物園

そんなフォッサですが、日本の動物園では見ることができません。

国内では唯一、上野動物園が飼育していましたが、2024年3月、国内最後のオス、ベザが亡くなっています。

フォッサの学名のうち属名である“Cryptoprocta”は、ギリシャ語で隠れた肛門を意味し、これはフォッサの肛門が肛門嚢により外からは見えないことを指しています。

一方、種小名の“ferox”は、ラテン語で獰猛なという意味になります。

彼らの樹上生活に適した体だけでなく、名前に付けられたこのような点についても気にかけてみてください。

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