マングース科

ミーアキャット

ミーアキャット©2006 Tom Booth: clipped from the original
小型肉食獣のなかま
『小型肉食獣のなかま』とても珍しい、小さな肉食動物だけを取り上げた図鑑です。まずはこちらの紹介記事をご覧ください。...

ミーアキャットの基本情報

ミーアキャット

英名:Meerkat
学名:Suricata suricatta
分類:マングース科 スリカータ属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ミーアキャット@Photo credit: GATAGPhoto credit: GATAG

集団生活

ライオンキングに出てくることでも有名なミーアキャットは、肉食動物の中でも特に社会的な動物です。

彼らは、最大30頭から成る群れで暮らします。

群れには、繁殖をする最優位のペアがおり、彼らの子供を群れのメンバー皆で育てます。

繁殖をしない成熟個体はヘルパーと呼ばれ、子供にエサを与えるなどします。

下の動画では、自分がとらえたサソリを巣から出始めて間もない子供に与える様子を見ることができます。

また、ヘルパーの中でも特にメスは最優位のペアの子供に授乳することもあります。

 

ミーアキャットのように集団で生活することには、大きなメリットがあります。

その一つに、協力して狩りができることが挙げられます。

1匹では倒せない大きな獲物も、複数であれば倒すことができます。

オオカミライオンなど、群れを作る肉食動物の一部はこのメリットを享受しています。

しかし、ミーアキャットは単独で採餌するため、このメリットの恩恵は受けていません。

ではなぜミーアキャットは集団を作るのでしょうか。

 

それは、捕食者を見張る眼を増やすためです。

ミーアキャットはオオカミやライオンのように生態系の頂点に立つわけではありません。

猛禽類やジャッカルといった彼らを食べる捕食者が存在します。

そんな捕食者がいる環境で、出来るだけアンテナを増やすために集団の力を利用しているのです。

ヨコスジジャッカル
ヨコスジジャッカル他のジャッカル2種と同所的に生息するヨコスジジャッカルは、彼らとどのように共存しているのでしょう。...
セグロジャッカル
セグロジャッカル高い繁殖力を持つセグロジャッカル。その背景には、彼らの社会性とヘルパーと言う存在があります。...

 

ただ、エサを探すという行為には、非常に集中力が必要です。

そのため、いくら集団を作っても採餌と周囲の警戒を常に行うことは困難です。

そこで、ミーアキャットは見張り番を立てます。

見張り番が採餌の時間を犠牲にしてまでも見晴らしのいい所にて二足で直立し、周囲を見張ることで、エサを探す仲間の安全を守っているのです。

もし、そこで捕食者などの危険が迫れば、発見者は警戒音で仲間に合図します。

その警戒音を聞いた仲間は一斉にそこに駆け付けたり、巣穴に逃げたりします。

下の動画では、コブラという脅威を発見した仲間の声に、他の仲間が一斉に反応する様子を見ることができます。

ちなみに、見張り番は交代制です。

ミーアキャットは、1匹では難しい子育てや防衛を、仲間と協力して行っている小さな動物なのでした。

ミーアキャットの生態

名前

オランダ語でmeerは湖、katはネコを表します。

また、昔の文献でミーアキャットはmierkatと言及されることもあります。

オランダ語から派生したアフリカーンス語の口語で、mierはシロアリ、katはネコを表します。

シロアリ塚で垂直に立つ様子が印象的だったのでしょうか。

いずれにせよ、ミーアキャットはネコではなく、マングースの仲間です。

 

生息地

ミーアキャットは、アフリカ南部サバンナ草原地帯に生息します。

マングースの中でも最も開けて乾燥した地域に生息します。

砂漠や森林にはいません。

ミーアキャット@Photo credit: Marcus SaulPhoto credit: Marcus Saul

 

食性

昆虫を主食とします。

その他、クモムカデサソリヘビなども食べます。

 

形態

体長は25~35㎝、体重は600~900g、尾長は17~25㎝です。

乾燥したところにいるほど毛色が薄くなります。

 

行動

ミーアキャットは昼行性で、雨の日や寒い日、夜は巣穴で過ごします。

巣穴は自分で掘ることもあれば、ジリスなどの巣穴を利用することもあります。

ミーアキャットは、このジリスやキイロマングースと巣穴を共有することで知られています。

巣穴は直径5mの範囲に及び、最長で3mの深さに達することもあります。

一つの部屋は直径30㎝ほどで、出入り口は最大100近くになることもあります。

ミーアキャットの行動圏は最大15㎢で、その中にいくつかの巣穴や避難場所を持ちます。

行動圏は主にオスの肛門腺からの分泌物によりマーキングされます。

キイロマングース©2016 zoofanatic: clipped from the original
キイロマングース群れで、巣穴で生活するキイロマングース。彼らは他の動物たちと同じ巣穴で暮らすことがあります。...

 

繁殖

ミーアキャットは年中繁殖できますが、暖かく湿気が高い時に多くの出産が行われるようです。

出産は年に最大3回行われます。

優位のペアだけが繁殖でき、劣位の個体の子供は優位個体により殺されてしまうこともあります。

妊娠期間は約11週で、1~4頭、通常3頭の赤ちゃんが産まれます。

赤ちゃんは生後2週で目を開き、1カ月齢から大人の採餌について行くようになります。

生後7~9週で完全離乳し、約1歳で性成熟に達します。

オスは成長すると生まれた群れから離れ、他のオスと徒党を組んだり、他の群れに加わったり、乗っ取ったりします。

寿命は飼育下で12年前後です。

ミーアキャット@Photo credit: Ross ElliottPhoto credit: Ross Elliott

ミーアキャットに会える動物園

ミーアキャットにはこれといった脅威がなく、その個体数も十分で安定しているため、絶滅に関してはほとんど懸念されていません。

IUCNのレッドリストでも軽度懸念の評価です。

 

そんなミーアキャットには、日本全国各地の動物園で会うことができます

北海道の円山動物園、秋田県の大森山動物園、千葉県の千葉市動物公園、富山県の富山市ファミリーパーク、静岡県の浜松市動物園、京都府の京都市動物園、徳島県のとくしま動物園、広島県の安佐動物公園、鹿児島県の平川動物公園などが、ミーアキャットを飼育・展示しています。

動物園でも彼らが二足で立って周囲を見渡す様子を見ることができます。

もしそれで鳴き声を発せられたら、それはあなたが彼らにとって脅威に映ったからなのかもしれません。

円山動物園

大森山動物園

千葉市動物公園

富山市ファミリーパーク

浜松市動物園

京都市動物園

とくしま動物園

安佐動物公園

平川動物公園