アライグマ科

フサオオリンゴ

フサオオリンゴ©2007 Jeremy Gatten: clipped from the original

フサオオリンゴの基本情報

フサオオリンゴ

英名:Olingo
学名:Bassaricyon gabbii
分類:アライグマ科 オリンゴ属
生息地:コスタリカ, ニカラグア, パナマ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

フサオオリンゴPhoto credit: Helgen K et al.Photo credit: Helgen K et al.

リンゴ?オリンゴ?オオリンゴ?

フサオオリンゴと言う名前を聞いて、どこで切ればいいのか最初とまどってしまいます。

そこで、他の動物の名前を見てみましょう。

猿.comにも登場するフサオマキザル

介助ザルとしても活躍する彼らの名前は、フサとオマキザルの間で切れます。

頭に房をもつ尾巻猿ということで、この切り方です。

 

ではフサオオリンゴもそうなのでしょうか。

残念ながら違います。

フサオオリンゴと言う名前は、フサとオオリンゴの間でも、フサオオとリンゴの間でもなく、フサオとオリンゴの間で切れます。

房尾をもつオリンゴです。

確かにふさふさした尾を持ちますが、ややこしい名前ですね。

オリンゴと言う名前は、英名からそのままとったのでしょう。

オマキザルのようにその日本名に意味はありません。

 

このフサオオリンゴ、その見た目は、アフリカの夜行性のサル、ポトや、マダガスカルのキツネザルによく似ています。

しかし、彼らはアライグマ科の仲間で、霊長類のような拇指対向性(ぼしたいこうせい)を持つ手足を持っていません

ただ、彼らの食べ物は果実や花で、霊長類のそれと似ており、実際、生息地が重複する場所では間接的な競合があると考えられます。

 

また、フサオオリンゴは日本の動物園でも見ることができるキンカジューと瓜二つです。

彼らはどちらもアライグマ科に属し、食べるものもよく似ています。

生息地も一部重複しており、これらの類似性から、彼らはよく間違えられるといいます。

皆さんが動物園で見るキンカジューももしかしたらオリンゴさんかもしれませんよ。

フサオオリンゴの生態

フサオオリンゴは、コスタリカなど中米常緑林などに生息します。

グアテマラやホンジュラスにも生息すると言われていますが、定かではありません。

樹上性が強く、ほとんど地上に降りてきません。

普段は森の上層部であるキャノピー層で生活しています。

そのため、観察は難しく、彼らについてはいまだに分かっていないことが少なくありません。

 

フサオオリンゴは果実食で、主に果実花蜜などを食べます。

この他にも、昆虫や、飼育下では肉も食べます。

食性はキンカジューと似ており、フサオオリンゴは食物をめぐってキンカジューと競合関係にあります。

彼らを食べる捕食者には、ヘビやジャガージャガランディオセロットなどがいます。

 

体長は35~47㎝、体重は1~1.5㎏、尾長は40~48㎝で、5種が属するオリンゴ属の中では最大です

性的二型は小さいですが、オリンゴ属の中では最大です。

先述のようにキンカジューと見た目がよく似ていますが、キンカジューの方が一般的に大きいです。

また、キンカジューのしっぽは物を掴むことができますが、フサオオリンゴのしっぽには把握力がありません

このような違いがあるものの、キンカジューはフサオオリンゴよりも小さい場合もあるので、見分けることはやはり困難です。

 

フサオオリンゴは、夜行性の動物です。

そのため、食性は似ていますが、昼行性の多くの霊長類とは直接的な競合関係にはありません。

フサオオリンゴは、通常単独で観察されます。

しかし、複数個体が同じ木で採食することもあります。

コミュニケーションには音声やグルーミングの他、肛門腺から出るにおいが使われます。

においはなわばりをアピールするほか、異性を惹きつけるという目的があると考えられます。

 

繁殖には季節性があると言われています。

出産は少なくとも年に1度行われます。妊娠期間は73~74日で、通常1頭の赤ちゃんが約55gで産まれます。

フサオオリンゴがつがいで観察されるのは繁殖期くらいで、育児はもっぱら母親の役割です

赤ちゃんは生後3週で目を開き、2カ月で離乳します。

そして、生後21~24カ月で性成熟に達します。

寿命は野生下で約10年、飼育下では最長21.8年の記録があります。

フサオオリンゴPhoto credit: Nancy HallidayPhoto credit: Nancy Halliday

フサオオリンゴに会える動物園

フサオオリンゴは、分布域が比較的広いことや、その一部が保護区となっていることなどから、絶滅に関しては懸念されておらず、レッドリストでも軽度懸念に留まります。

ただ、主に住処である森林の減少により、個体数は逓減しています。

フサオオリンゴの詳しい個体数や生息密度は未だ分かっていないため、更なる研究が俟たれます。

そんなフサオオリンゴですが、残念ながら日本では見ることができません

我々にできることと言えば、もしかしたらフサオオリンゴかもしれないと思いながらキンカジューを見つめることくらいです。