クマ科

メガネグマ

メガネグマ

メガネグマの基本情報

メガネグマ

英名:Spectacled Bear
学名:Tremarctos ornatus
分類:クマ科 メガネグマ属
生息地:ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

メガネグマ@Photo credit: Dave PapePhoto credit: Dave Pape

南米のクマ

クリーム色の模様が目の周りにあり、これがメガネをかけているように見えることからメガネグマと呼ばれていますが、この模様は必ずしも目の周りを囲むようにできるわけではありません

模様は口元付近だけのものや、喉まで伸びるもの、片目だけ囲むものなど様々で、同じ模様は一つとしてないため、模様はメガネグマの個体識別に使われています。

 

そんなメガネグマ、クマの中で唯一南米に生息しています

彼らはアンデスグマと呼ばれることがありますが、それは彼らが南米を西部に縦に伸びるアンデス山脈に生息しているからです。

ちなみに、クマの中でその大きさは中くらいですが、南米に生息する動物の中では最大級です

 

他のクマと比べたときの彼らの特徴は、まずその見た目です。

模様の他にも、顔は他と比べて丸く、特徴的です。

 

この丸い顔は噛む力が発達していることの表れで、大きく平らな臼歯と共に、堅い植物を噛むのに役立っています。

パンダに次いで植物をよく食べるというのも特徴の一つでしょう。

 

もう一つの特徴は、その樹上性の強さです

彼らは多くの時間を樹上で過ごします。

興味深いことに、彼らは樹上に長さ5m以上のプラットフォームを作り、そこを餌を探す際の足場としたり、休憩の場としたりして利用しています。

 

このような特徴を持つ南米のクマ、メガネグマですが、もちろん他のクマと共通していることもあります。

典型的なのは、その歩き方です。

ほとんどの肉食動物がかかとをあげて歩く趾行(しこう)という歩行をするのに対し、クマ科の動物は足の裏全体を付けて歩く蹠行(しょこう、せきこう)歩行をします。

ちなみに、私たち人間もクマと同じ蹠行性の動物です。

メガネグマ@Photo credit: Steve WilsonPhoto credit: Steve Wilson

メガネグマの生態

メガネグマは、アンデス山脈雲霧林熱帯湿潤林草原など幅広い環境に生息します。

生息する標高も幅広く、200~5000m近くにもなり、彼らはエサを求めた季節的な移動をしていると考えられています。

人間との関わりは古くからあり、アンデスの民話や伝説によく登場し、現地での名前はいくつもあります。

 

メガネグマはパンダに次いで植物を食べるクマで、全体に対する肉の割合は5%ほどしかありません。

主食はパイナップル科植物果実で、その他にもコケサボテン小型哺乳類鳥類昆虫などを食べます。

また、彼らはトウモロコシなどの農作物も食べるため、人間により迫害されることもあります。

 

体長は120~200㎝、肩高は60~90㎝、体重はオスが平均115㎏、メスが平均65㎏、しっぽの長さは約7㎝で、性的二型が顕著です

オスは150㎝を下回ることはなく、大きいもので200㎏になるものもいます。

他のクマと同様、前肢は後肢より長いです。

 

メガネグマは基本的に単独で行動します。

しかし、エサの豊富な所では一時的に複数個体が集合することもあります

そのため、なわばり性は弱いと考えられています。

行動圏は7~27㎢で、オスの方がメスよりも広い行動圏を持ちます

活動時間は主に日中と考えられていますが、場合によっては薄明、薄暮、夜に活動することもあります。

一部のクマに見られる冬眠はしません

コミュニケーションは主ににおいを用いて行われます。

 

メガネグマの繁殖についてはよく分かっておらず、飼育個体の情報が主となります。

彼らは年中繁殖できますが、交尾のピークは4~6月にあり、オスとメスは1~2週間ほど連れ合います。

妊娠期間は160~255日で、遅延着床がみられます。

出産は、果実が豊富な時期の2,3か月前、つまり子供が離乳するときに果実が豊富になるような時期に行われます。

一度の出産で、約300gの赤ちゃんが通常双子、多くて三つ子で産まれてきます。

下の動画にて見られる赤ちゃんは生後1カ月で目を開き、約1年母親の下で暮らします。

性成熟には4~8年で達し、寿命は野生で約20年、飼育下では最長36年です。

メガネグマに会える動物園

メガネグマは、密猟と生息地の縮小により、個体数を減らし続けています。

彼らが生息するアンデスの一部はかつてインカ帝国があった場所でもあり、古くからその生態系は人間により攪乱されてきました。

現在でも探鉱や原油の採掘、何百年も前から高所障害を和らげるために使われてきたコカの栽培などにより、生息地は破壊されています。

薬、呪物を目的とした密猟も絶えません。

市場はアジアにもあり、メガネグマの胆のうは、中国の伝統薬の世界では大変高価なものとして知られています。

メガネグマは年間約180頭が密猟の餌食となっていますが、実態はそれをはるかに超えると言われています。

現在、個体数については分かってないことが多いものの、成熟個体数は2500~10,000頭と推測されており、レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 

そんなメガネグマ、実は日本でも会うことができます

神奈川県のよこはま動物園ズーラシアと、大阪府の天王寺動物園がメガネグマを飼育しています。

これらの動物園のメガネグマたちは、果たしてメガネをかけているのかどうか、ぜひ自分の目で確かめてみてください。