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オコジョ

オコジョ©2015 Kalabaha1969: clipped from the original
©2015 Kalabaha1969: clipped from the original
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オコジョの基本情報

英名:Stoat/Ermine/Short-tailed Weasel
学名:Mustela erminea
分類:イタチ科 イタチ属
生息地:アフガニスタン、アルバニア、アンドラ、オーストリア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、日本、カザフスタン、キルギス、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、モルドバ、モンゴル、モンテネグロ、オランダ、ニュージーランド、北マケドニア、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、タジキスタン、トルコ、ウクライナ、イギリス、アメリカ合衆国、ウズベキスタン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

オコジョ@Photo credit: soumyajit nandy
Photo credit: soumyajit nandy

参考文献

踊る白い殺し屋

オコジョの換毛は春と秋に見られます。

秋になると、腹、背中、頭の順に白くなっていき、春はその逆の順で毛が生え変わって行きます。

オコジョと聞くと、その真っ白い姿が想像されますが、実は冬に完全に白くなるのは、北方や高山帯に生息するものだけで、温帯などの温かいところに棲むものは、体色の一部が変化するか、もしくは変化しません。

そんなオコジョは、典型的なイタチの形態をしています。

長い胴に長い首、長いひげに短いしっぽ。このようなしなやかな形態のおかげで、獲物である小型哺乳類の巣穴にすんなりと入り込むことができます。

ちなみに、その姿は最小の肉食動物であるイイズナに似ていますが、大きさやしっぽの先で見分けがつきます。

オコジョの方が大きく、オコジョのしっぽの先は黒いです。

この尻尾の模様は、襲ってくる猛禽類の気をそらすために進化したものだと考えられています。

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オコジョは機械的捕食者で、途中で約50㎝ジャンプしたり、後肢だけで立ったりしながら、ジグザグ動く中で、見つけたえさは何でも食べます。

時に自分の10倍もの大きさのウサギを襲うこともあります。

下の動画ではまさにその様子を見ることができます。

ところで、踊るオコジョをご存知でしょうか。

狩りの時、獲物の気を引くためか、オコジョがダンスするのです。

このダンスは、「イタチのウォーダンス(weasel war dance)」と呼ばれています。

ウォーダンスとは闘いの前に踊る儀式的なダンスのことで、マオリ族のハカが最も有名でしょう。

そのウォーダンスをオコジョも踊るというのです。

下の動画で見ることができますが、激しく体をひねったりジャンプしたりすることで、獲物は動きを止めます。

そこをすかさず襲うことで、オコジョは狩りを成功させます。

このダンスに関しては不明なことが多く、一説では獲物の気を引きためではなく、線虫に感染したことによるものだと言われています。

オコジョの生態

生息地

オコジョは、北半球の標高約4,000mまでのツンドラ荒れ地森林牧草地などさまざまな環境に生息しています。

深い森林や砂漠は避けるようですが、その生息範囲は広く、イタチ科の中では最大の分布域を持ちます。

彼らは増えすぎたウサギの個体数を減らすため、ニュージーランドに導入され、現在も野生下で生息していますが、彼らの存在は現地の鳥類にとって大きな脅威となっています。

食性

オコジョの主食は齧歯類などの小型哺乳類ですが、その他には鳥類の卵魚類トカゲ類両生類昆虫果実死肉なども食べます。

一日の平均摂取量は約50gで、狩りすぎた獲物は隠し、後で食べます。

狩りには嗅覚、聴覚、視覚が使われ、小さなメスの方がより獲物の巣穴に入り込んで狩りをします。

一方のオスは地上でエサを探すことが多いため、人間による罠にかかる確率が高いです。

オコジョを食べる可能性がある捕食者には、アカギツネフィッシャーアメリカアナグマ猛禽類などがいます。

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形態

体長はオスが18~32㎝、メスが16~27㎝、体重はオスが平均260g、メスが180g、尾長は4~12㎝で、性的二型が見られます

肛門や頬、腹などに臭腺を持ち、ここから出る分泌物や糞尿で、自分の行動圏をマーキングします

行動

オコジョは昼夜を問わず活動します。

単独性で、1~200ha、最も一般的には10~60haの行動圏を持ち、オスの方がより広い行動圏を持ちます

オスの行動圏は、複数のメスのものを含んでいるか、一部重複しています。

一日の移動距離は約1kmですが、15kmを移動することもあります。

オコジョは、行動圏内にいくつかの巣穴を持ちます。

巣穴は自分で掘ることはなく、木の洞や、岩の裂け目、獲物の巣穴などを利用します。

巣穴は鳥の羽や獲物の毛が敷き詰められており、育児にも利用されます。

繁殖

オコジョは年に一度、オスもメスも複数の異性と繁殖します。

交尾は4~6月にかけて多く見られ、交尾時間は長くて1時間にもなります。

妊娠期間は平均280~300日で、8~9カ月の着床遅延が見られます。

ちなみに、イイズナには着床遅延がありません。

一度に2~18頭、平均6~8頭の赤ちゃんが巣穴に産み落とされます。

育児はもっぱら母親だけにより行われます。

赤ちゃんは生後5~6週で目を開き、その後しっぽの黒い模様が現れます。

生後8週には離乳をはじめ、親の狩りについて行くようになります。

メスの性成熟は早くて60~70日で、離乳前になることもあります。

一方のオスは1歳ごろに性成熟に達します。

独立後、メスは生まれた場所に留まることが多いですが、オスは分散し、自分の行動圏を確立します。

寿命は飼育下で約10年です。

オコジョ@Photo credit: Yellowstone National Park
Photo credit: Yellowstone National Park

オコジョに会える動物園

オコジョは、その分布域の広さから絶滅は懸念されておらず、レッドリストでも軽度懸念の種として位置づけられています。

ただ、生息地の減少や、獲物である小型哺乳類の減少、毛皮目的の狩猟による影響は少なからず受けていると考えられます。

ヨーロッパにおいてオコジョの毛皮は、かつて高級品として王族にも重宝されていました。

フィンランドでは1930年代だけで、3万頭以上のオコジョの毛皮が販売されています。

ただ、現在、毛皮の取引をしている国はロシアぐらいで、毛皮目的の狩猟はかつてほどではなくなっています。

そんなオコジョですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

ただ、オコジョは日本にも生息しています。

彼らは東北地方から中部地方にかけてパッチ状に見られ、北海道では広く見られます。

相当運が良ければ彼らのダンスも見ることができるかもしれないので、興味がある方は是非、野生のオコジョを探しに行ってみてください。

オコジョ@Photo credit: Lake Clark National Park & Preserve
Photo credit: Lake Clark National Park & Preserve
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