イタチ科

クズリ

クズリ©2013 zoofanatic: clipped from the original

クズリの基本情報

クズリ

英名:Wolverine
学名:Gulo gulo
分類:イタチ科 クズリ属
生息地:カナダ、中国、エストニア、フィンランド、モンゴル、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

クズリPhoto credit: Susanne NilssonPhoto credit: Susanne Nilsson

ウルヴァリン

クマのような顔をしたクズリは、イタチ科の中でも最大級の大きさを誇ります。

そのずんぐりむっくりした体は伊達ではなく、自分の何倍もの大きさの有蹄類を倒し、その骨をかみ砕くことができてしまいます。

クズリは、機会的捕食者で、食べられるものは何でもモリモリ食べます。

そのことから、彼らの学名には、食いしん坊という意味のラテン語が用いられています。

 

また、クズリは悪名高いラーテルに負けず凶暴な一面があります。

顔の厚さは半端ではなく、時にオオカミやピューマ、さらにはクマなど、自分よりも大きな肉食動物から獲物を奪うことすらあります。

その凶暴さ、残酷さは民話に残るほどです。

恐ろしい。

ラーテル
ラーテル「世界一怖いもの知らずな動物」としてギネスブックに載っているラーテルの生態を恐る恐る覗きます!...

 

ここで、彼らの英名に注目してみましょう。

クズリの英名は“wolverine(ウルヴァリン)”です。

なんだか聞いたことありますね。

そう、クズリは、ヒュー・ジャックマンが演じたことでも有名なマーベルのヒーロー、ウルヴァリンのモデルです

ウルヴァリンといえば、両手から伸びる、3本ずつの長い爪です。

この爪は、クズリの特徴でもありますが、クズリは5本の爪を両手に備えています。

また、この爪は不完全ではあるものの、出し入れが可能です。

ちなみに、ヒュー・ジャックマンは自分が演じていたくせに、クズリという動物の存在をしばらくの間知らなかったと言います。

ラーテル@Photo credit: Susanne NilssonPhoto credit: Susanne Nilsson

クズリの生態

クズリは、ユーラシア大陸と北アメリカの高山地帯針葉樹林などに生息します。

基本的に地上で生活しますが、木登り、泳ぎも得意です。

 

クズリは主に、カナダオオヤマネコオオカミなどが残した有蹄類の死肉を食べます。

食べきれない食料は隠すこともあり、この時、寒い気候は食料の保存に役立ちます。

もちろん自分で狩りをすることもあります。

ノウサギなどの小型哺乳類から、自分の何倍もの大きさのトナカイやヘラジカといった有蹄類を捕らえることもあります。

特に冬は、獲物の動きが雪により鈍くなるので、クズリの方が素早く動くことができます。

カナダオオヤマネコ
カナダオオヤマネコ彼らの詳しい生態の他、カンジキウサギとの面白い関係について、動画と画像も用いてご紹介します。...

 

体長は65~105㎝、肩高は35~45㎝、体重はオスが11~28㎏、メスが7~19㎏、尾長は13~26㎝で、オスがメスより体長で1割、体重で3割ほど大きくなります

クズリの足は大きく、裏は毛で覆われます。

また、クマのように足の裏を全てつけて歩く蹠行に近い歩き方をします。

このような特徴は、雪の上での生活に貢献しています。

 

クズリは主に夜行性ですが、日中活動することもあります。

単独性で、なわばり性が強いです。

なわばりは肛門腺からの分泌物や尿でマーキングされます。

このマーキングは食料を隠した場所にも行われます。

行動圏は広く、オスで100~500㎢、メスで100~200㎢もあります。

行動圏の重複は異性間で見られますが、同性間ではほとんど見られません。

生息密度は小さく、100㎢に1頭いるかいないかです。

彼らは嗅覚を頼りに食料を探して、一日に20km以上も歩きます。

さらにほとんど休みなく10~15km歩くこともできます。

 

クズリの繁殖には季節性が見られ、交尾は5月~8月にかけて見られます。

オスもメスも複数の相手と交尾し、メスは2年に1度、出産します。

実質の妊娠期間は30~50日ですが、約半年の遅延着床が見られるため、見かけ上の妊娠期間はもっと長いです。

一度の出産で、約90gの赤ちゃんが通常2~3頭で産まれます。

育児は母親により、雪に掘られた巣穴で行われます。

赤ちゃんは生後9~10週で離乳し、5~7カ月で自分で食料を探すようになります。

1歳で大人の体になり、2~3歳で性成熟に達します。

寿命は野生で5~7年、最長13年、飼育下で17年です。

クズリに会える動物園

クズリは、ヒツジやトナカイなどの家畜を襲ったり、毛皮目的で罠にかけられた動物を食べたり、罠を壊したりしてしまうことから、人間により害獣視され、駆除の対象となっています。

また、クズリ自身も毛皮目的で狩猟されたり、娯楽で狩猟されたりしています。

これらの他、生息地である森林の減少も彼らにとって脅威となっています。

クズリはかつて、より南の地域にも生息していましたが、主にこれらの脅威により、すでにそこでは絶滅しています。

現在、IUCNのレッドリストではその分布域の広さから軽度懸念の種とされていますが、個体数は減少していると考えられています

ヨーロッパの個体群では遺伝的多様性も小さくなっているというので、絶滅の懸念は高まっていくと思われます。

 

そんなクズリですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません

なので、もしウルヴァリンの映画を見る機会があれば、クズリのことも思い出してあげてください。

ラーテル@Photo credit: Becker1999Photo credit: Becker1999